フィンセント・ファン・ゴッホ──。激情と繊細さをあわせ持つこの画家の人生は、今も世界中の人を惹きつけ続けています。代表作の「ひまわり」や「星月夜」を知っていても、その裏側にある物語や人間関係までは知らない、という方も多いのではないでしょうか。
そんなゴッホの人生に魅了され、彼を題材にした小説を数多く発表しているのが作家・原田マハさんです。美術館勤務やキュレーターとしての経験を持つ著者だからこそ書ける「絵画の裏側のストーリー」は、ゴッホをもっと身近な存在として感じさせてくれます。
この記事では、「原田マハ×ゴッホ」小説のおすすめ作品を中心に、ゴッホの足跡をたどれる本や、美術ファンにぜひ読んでほしい関連書籍まで、まとめてご紹介します。
ゴッホの絵が好きな方はもちろん、「美術は詳しくないけれど、人生ドラマとしてゴッホの物語を読んでみたい」という方にも読みやすいラインナップです。ぜひ、気になる一冊から手に取ってみてください。
ゴッホの死の謎に迫るアート・ミステリー小説『リボルバー』は、電子書籍の読み上げ機能やオーディオブックを使えば「耳読書」も可能です。通勤時間や家事の合間など、すきま時間に楽しめるので、忙しい社会人にもぴったりです。
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1. 原田マハと「ゴッホ小説」の魅力
原田マハさんは、美術史を学び、キュレーターとしても活動してきた経歴を持つ作家です。そのバックボーンを活かした「アート小説」「美術史小説」の分野で高い評価を受けており、ゴッホをテーマにした作品も複数執筆しています。
難しそうに感じられがちな美術の世界を、物語という形でやさしく解きほぐしてくれるのがマハ作品の大きな魅力。ゴッホの作品や人生を知らなくても、一つの小説としてじゅうぶん楽しめますし、読み終えたあとに「本物の絵を見てみたい」と思わせてくれる力があります。
ここからは、「ゴッホを深く知りたい人にまず読んでほしい3作品」として、
- 『たゆたえども沈まず』
- 『ゴッホのあしあと』
- 『リボルバー』
の順に、あらすじや読みどころ、どんな人におすすめかをくわしく紹介していきます。

2. 原田マハ×ゴッホ小説おすすめ1:『たゆたえども沈まず』
まず最初におすすめしたいのが、原田マハさんの代表作のひとつである長編小説『たゆたえども沈まず』です。ゴッホと弟テオ、日本人画商・林忠正らが生きた19世紀後半のパリを舞台に、「なぜゴッホの絵は日本にこれほど愛されるのか」という問いにもつながる物語が描かれます。
2-1. 『たゆたえども沈まず』のあらすじ(ネタバレなし)
舞台は1880年代のパリ。まだ評価されず、苦しい生活を送りながらも描くことをやめないゴッホと、その才能を信じて支え続ける弟・テオ。そして、浮世絵をフランスに紹介した日本人画商・林忠正と、その助手である重吉。
ヨーロッパで「ジャポニスム」が盛り上がるなか、日本の美術と西洋の画家たちがどのように出会い、影響を与え合っていったのか。史実に基づきながらもフィクションとしてのドラマ性が高く、ゴッホの人生と日本人の関わりが丁寧に描かれていきます。
2-2. 読みどころ・感想:ゴッホの「人間としての弱さ」と「絵を描く理由」
『たゆたえども沈まず』の一番の魅力は、「天才画家ゴッホ」というイメージの向こう側にある、人間としての弱さや不器用さが丁寧に描かれているところです。成功できない焦り、愛されたいのにうまく関われない不器用さ。それでも絵を描くことだけは諦めない執念のようなものが、読み手の胸に迫ってきます。
また、弟テオや林忠正ら「ゴッホの周りにいた人たち」の視点がしっかり描かれているのもポイント。ゴッホ本人だけでなく、<彼を信じ、支え、理解しようとした人々>の物語として読むと、より深い感動があります。
アート小説としての評価も高く、本屋大賞ノミネート歴もある作品なので、「まず1冊ゴッホ小説を読むならどれ?」と聞かれたら真っ先におすすめしたい一冊です。
2-3. こんな人におすすめ
- ゴッホの生涯を、小説を通してじっくり味わいたい方
- 美術史やジャポニスムに興味がある方
- 人間ドラマとしても読み応えのある長編小説を探している方
読み終えた頃には、ゴッホの絵を見る目がきっと変わっているはずです。
3. 原田マハ×ゴッホ小説おすすめ2:『ゴッホのあしあと』
次に紹介する『ゴッホのあしあと』は、タイトルの通り、ゴッホの残した「足跡」をたどるように構成された一冊です。フランス各地を旅しながらゴッホの残した場所や作品を巡るスタイルで、ガイドブックのようでもあり、ノンフィクションのような臨場感もある作品です。
3-1. 『ゴッホのあしあと』のあらすじ・構成
『ゴッホのあしあと』は、いわゆる「小説」というより、ゴッホゆかりの地を辿る旅のエッセイ+解説書のようなスタイルの本です。南仏アルルやサン=レミ、オーヴェル=シュル=オワーズなど、ゴッホが過ごした土地を訪ねながら、その地で描かれた作品や彼の心境を、原田マハさんならではの視点で解き明かしていきます。
「ゴッホは本当に狂気の人だったのか?」という問いに対し、残された絵や手紙、場所の空気などを手がかりに、「努力家でインテリ、日本に憧れ続けた一人の人間」としてのゴッホ像を浮かび上がらせていく構成になっています。
3-2. 読みどころ・感想:ゴッホゆかりの地を「一緒に旅する」感覚
『ゴッホのあしあと』の魅力は、とにかく「現地を歩いているようなリアルさ」です。石畳の道、光の色、風の匂い──そういった視覚や感覚の描写が豊かで、読んでいると「ゴッホがここでこの空を見ていたのか」と想像がふくらみます。
また、ゴッホの生涯を年表的に追うのではなく、「場所」を軸に語ってくれるので、美術館で作品を見るときにも役立つ知識が多く得られます。旅行前の予習本として読むのもおすすめです。
3-3. 読む順番とおすすめの活用法
『たゆたえども沈まず』でゴッホの人生を物語として味わったあとに、『ゴッホのあしあと』で実際の土地や歴史的背景をなぞる、という読み方がとても相性が良いです。
- 1冊目:物語として『たゆたえども沈まず』
- 2冊目:実在の場所を辿る『ゴッホのあしあと』
- 3冊目:ミステリーとして『リボルバー』
この順番で読むと、ゴッホの人生・場所・死にまつわる謎が立体的につながっていき、3作品それぞれの理解も深まります。
4. 原田マハ×ゴッホ小説おすすめ3:『リボルバー』
3作目に紹介する『リボルバー』は、「ゴッホの死に使われたとされる一丁の銃」をめぐるアート・ミステリー小説です。ゴッホやゴーギャンの関係性に迫りつつ、「誰が引き金を引いたのか?」というアート史上の大きな謎に挑んでいきます。
4-1. 『リボルバー』のあらすじ(ネタバレなし)
主人公は、パリの小さなオークション会社で働くオークショニスト・高遠冴(たかとお・さえ)。彼女は美術史の修士号を持ち、ゴッホとゴーギャンの関係について研究を続けている人物です。
ある日、冴のもとに錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれます。それは「ゴッホが自殺したときに使われた銃」だと出品者は主張しますが、調べていくうちに「同じ銃」がもう一丁存在する可能性が浮かび上がり──。
リボルバーの真贋をめぐる調査は、やがてゴッホとゴーギャン、そして彼らを取り巻く人々の関係の深層へと冴を導いていきます。
4-2. 読みどころ・感想:アート×ミステリーのバランスが絶妙
『リボルバー』は、単なるミステリー小説でも、単なる美術小説でもありません。ゴッホの死の真相に迫る「謎解き」のスリルと、二人の画家の才能や孤独、嫉妬や友情といった人間ドラマが、絶妙なバランスで絡み合っています。
ゴッホやゴーギャンについての史実も丁寧に取り入れられているので、読み終えたころには自然と美術史の知識も増えているはず。アートを題材にした小説が初めてという方にも、とても読みやすい構成です。
2021年には舞台化もされ、ゴッホとゴーギャンの関係を立体的に見せる作品として話題になりました。「ゴッホの死は本当に自殺だったのか?」というテーマに興味がある方には、特に刺さる一冊です。
4-3. 『リボルバー』はいつ読むべき?おすすめの順番
ゴッホの生涯や作品の背景をある程度知っていると、作品世界への没入感が増します。そのため、
- まず『たゆたえども沈まず』でゴッホの人生と時代背景を掴む
- 『ゴッホのあしあと』でゆかりの地や人物像を整理する
- そのうえで『リボルバー』を読む
という流れがおすすめです。ただし、ミステリー要素を強く楽しみたい方は、『リボルバー』単独で先に読んでしまっても問題ありません。
5. その他の原田マハの美術・エンタメ関連作品
ここからは、ゴッホ以外にも美術やエンタメの世界を楽しめる、原田マハさんの関連作品をいくつかピックアップして紹介します。
5-1. 『フーテンのマハ』
『フーテンのマハ』は、原田マハさんが世界各地の美術館や街を訪ね歩く中で出会った「作品」や「人」「食べ物」について綴ったエッセイ集です。ゴッホやピカソ、ルソーなど有名画家の話も登場し、美術エッセイとしても旅の読み物としても楽しめます。
小説と違い、1章ごとにサクッと読めるので、「活字は読みたいけれど長編を読む余裕がない」というときの気分転換にもぴったりです。マハ作品の世界に気軽に触れてみたい方にもおすすめです。
5-2. 『総理の夫』
『総理の夫』は、美術ではなく「政治×夫婦」がテーマのエンタメ小説。日本初の女性総理大臣となった妻と、その夫である鳥類学者・日和の視点から、政界のドタバタと夫婦の絆がユーモラスに描かれます。映画化もされ、原田マハ作品の中でも知名度の高い一冊です。
シリアスな政治小説というより、ポップで読みやすいエンタメ作品なので、「マハ作品は美術ものしか読んだことがない」という方の気分転換にも◎。
5-3. 『フェルメールの帽子』(ティモシー・ブルック)
『フェルメールの帽子――作品から読み解くグローバル化の夜明け』は、原田マハさんの小説ではなく、歴史学者ティモシー・ブルックによるノンフィクションです。フェルメールの絵に描かれた「帽子」や「食器」などのモチーフから、17世紀オランダとアジア・アメリカを結ぶグローバルな歴史を読み解いていきます。
美術史と世界史のつながりに興味がある方には非常に刺激的な一冊。ゴッホの時代より少し前の「西洋と東洋の出会い」を知っておくと、原田マハさんの美術小説を読む際の背景知識としても役立ちます。
6. まとめ:ゴッホ小説から広がる「絵を見る楽しみ」
原田マハさんのゴッホ小説は、どれも「絵を見る楽しみ」を何倍にもふくらませてくれる作品ばかりです。
- 『たゆたえども沈まず』:ゴッホの人生と、日本とのつながりを描いた長編小説
- 『ゴッホのあしあと』:ゴッホゆかりの地を巡る、旅と解説の一冊
- 『リボルバー』:ゴッホの死の謎に迫るアート・ミステリー
まずは気になる一冊から読んでみて、心に残った場所や作品があれば、実際に美術館や現地を訪ねてみるのも素敵です。本と絵と旅がつながると、ゴッホの世界はさらに立体的に感じられるようになります。
ぜひ、原田マハさんの小説を入り口に、ゴッホの魅力的な世界にじっくり浸ってみてください。

よくある質問(FAQ)
Q1:原田マハのゴッホ小説は、どの順番で読むのがおすすめですか?
ゴッホの人生からじっくり知りたい場合は、
- 『たゆたえども沈まず』
- 『ゴッホのあしあと』
- 『リボルバー』
の順番がおすすめです。物語→現地ガイド→ミステリーと段階的に読むと、理解が深まりやすくなります。
私はこの順番で読んだら、最後には「ゴッホ巡礼」に行きたくなりました…!
Q2:『リボルバー』はゴッホの自殺に関する内容が多いですか?
『リボルバー』は、ゴッホの死の真相に迫るミステリー要素が物語の大きな軸になっています。ただし、残酷な描写が延々と続くわけではなく、美術史や人間ドラマとバランスよく組み合わされているので、アート小説としても楽しめます。
Q3:ゴッホ以外の画家が登場する原田マハ作品はありますか?
はい、ピカソやアンリ・ルソーなど、さまざまな画家が登場する作品があります。美術の世界を広く楽しみたい方には、『フーテンのマハ』や、琳派をテーマにした『風神雷神』などもおすすめです。
Q4:原田マハの作品は、美術に詳しくなくても楽しめますか?
美術の専門知識がなくても大丈夫です。どの作品も人物描写やストーリーがしっかりしているので、「人間ドラマ」として楽しめます。読み終えたあとに、「この絵、実物を見てみたいな」と自然に興味が湧いてくるはずです。
ゴッホのことをあまり知らずに読み始めましたが、小説を通して一気にファンになりました…!
また、映画化で話題になった『総理の夫』も、マハ作品の入り口としてとても読みやすいのでおすすめです。まずは1冊、気になった作品から手に取ってみてください。





