「ゴッホの絵は好きだけど、どんな人生を送った人なのかはあまり知らない」「美術史の本は難しそうだから、小説から読んでみたい」

そんな人におすすめしたいのが、原田マハさんがゴッホを題材に書いた作品です。
原田マハさんといえば、『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』など、美術をテーマにした小説を数多く発表している作家。美術館勤務やキュレーターとしての経験もあり、作品を通して画家や美術史を身近に感じられるのが魅力です。
なかでもフィンセント・ファン・ゴッホについて知りたいなら、『たゆたえども沈まず』『ゴッホのあしあと』『リボルバー』の3冊をチェックしてみてください。
ただし、3冊すべてが小説というわけではありません。『たゆたえども沈まず』と『リボルバー』は小説、『ゴッホのあしあと』はゴッホの人物像や足跡をたどる読み物です。



この記事では、それぞれの違いやあらすじ、読みどころに加えて、「どれから読めばいい?」という人向けにおすすめの読む順番も紹介します。
『リボルバー』は文庫・電子書籍だけでなく、オーディオブック版も販売されています。通勤中や家事をしながら本を楽しみたい人は、耳で聴く読書を選ぶのもおすすめです。
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原田マハが描くゴッホのおすすめ本3冊を比較
まずは、今回紹介する3冊の違いをざっくり比較してみましょう。
| 作品 | ジャンル | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| たゆたえども沈まず | 長編小説 | ゴッホの生涯や弟テオ、日本とのつながりを物語として楽しみたい |
| ゴッホのあしあと | 解説・紀行 | ゴッホ本人やゆかりの地をもっと詳しく知りたい |
| リボルバー | アートミステリ小説 | ゴッホの死やゴーギャンとの関係をミステリーとして楽しみたい |
最初の1冊なら『たゆたえども沈まず』が特におすすめ。ゴッホについて詳しく知らなくても物語として入りやすく、その後にほかの2冊を読むと人物や出来事のつながりを理解しやすくなります。


原田マハ×ゴッホおすすめ1|『たゆたえども沈まず』
ゴッホをテーマにした原田マハ作品を初めて読むなら、まずおすすめしたいのが『たゆたえども沈まず』です。
2017年に刊行された長編小説で、2018年本屋大賞にノミネートされ、第4位に選ばれています。
フィンセント・ファン・ゴッホと弟テオ、そして19世紀のパリで日本美術を広めた日本人画商・林忠正らを描く物語です。
『たゆたえども沈まず』のあらすじ|ゴッホ兄弟と日本人画商を描く
舞台は1886年のパリ。
画家としてなかなか評価されないフィンセント・ファン・ゴッホは、パリで画商として働く弟テオのもとへ身を寄せます。
一方、当時のパリでは日本美術、特に浮世絵への関心が高まっていました。そこで登場するのが、日本人画商の林忠正です。
ゴッホ兄弟と林忠正らを軸に、19世紀末パリの美術界とジャポニスムの熱気が描かれていきます。
実在した人物や当時の美術史を背景にしていますが、作品そのものはフィクションを含む小説です。史実をそのまま記録した伝記ではない点は理解したうえで楽しみましょう。
読みどころ|弟テオとの関係を知るとゴッホの見え方が変わる
この作品で印象的なのが、ゴッホ本人だけでなく、弟テオの存在が大きく描かれていることです。
現在では世界的な画家として知られるゴッホですが、生前は作品がほとんど評価されませんでした。そんな兄を精神的にも経済的にも支え続けたのがテオです。
ゴッホの作品だけを見ていると「強烈な個性を持った天才画家」というイメージになりがちですが、物語を通して兄弟の関係を見ることで、作品の背景にいた人々にも興味が広がります。
浮世絵とゴッホの関係にも注目
もうひとつ注目したいのが、ゴッホと日本美術の関係です。
ゴッホは日本の浮世絵に強い関心を持っていたことで知られています。本作では、当時のパリで日本美術がどのように受け入れられていたのかという時代背景も物語に組み込まれています。



「どうしてゴッホの絵に日本が関係するの?」と思ったことがある人なら、より楽しみやすいテーマです。
『たゆたえども沈まず』がおすすめな人
- ゴッホについて最初に読む本を探している
- ゴッホと弟テオの関係に興味がある
- 浮世絵やジャポニスムが好き
- 美術史を物語から楽しみたい
- 読み応えのある長編小説が好き
原田マハ×ゴッホおすすめ2|『ゴッホのあしあと』
『ゴッホのあしあと』は、小説ではなく、原田マハさんがゴッホという人物に迫る読み物です。
2018年に『ゴッホのあしあと 日本に憧れ続けた画家の生涯』として新書が刊行され、その後2020年に文庫化されています。
「ゴッホについて知りたいけれど、本格的な美術史の専門書は難しそう」という人にも入りやすい一冊です。
フランス各地に残る「ゴッホのあしあと」をたどる
本書では、フランス各地に残るゴッホゆかりの場所をたどりながら、その生涯や作品について紹介していきます。
ゴッホというと「耳を切った画家」「狂気の天才」といった強烈なエピソードだけが先行しがちですが、本書で描かれるのはそれだけではありません。
新しい絵画表現を研究し続けた努力家としての一面や、語学の才能、日本への憧れなど、ひとりの人間としてのゴッホに目を向けています。
小説を読んだあとに読むと美術史がつながる
『たゆたえども沈まず』は小説なので、実在の人物や史実を土台にしながらもフィクションが含まれています。
そのあとに『ゴッホのあしあと』を読むと、小説で知った人物や土地について、もう一段詳しく調べる感覚で楽しめます。
アルル、サン=レミ、オーヴェル=シュル=オワーズなど、ゴッホゆかりの土地に興味がある人にもおすすめです。
『ゴッホのあしあと』がおすすめな人
- ゴッホ本人についてもう少し詳しく知りたい
- 小説ではなく読みやすい解説本を探している
- ゴッホゆかりの土地に興味がある
- 『たゆたえども沈まず』を読んでゴッホに興味を持った
- 美術館へ行く前の予習をしたい
原田マハ×ゴッホおすすめ3|『リボルバー』
美術史だけでなくミステリーも好きなら、『リボルバー』がおすすめです。
2021年に単行本が刊行されたアートミステリで、現在は文庫・電子書籍・オーディオブックでも楽しめます。
テーマとなるのは、今もさまざまな説が語られる「ゴッホの死」です。
『リボルバー』のあらすじ|一丁の銃から始まるアートミステリ
主人公は、パリの小さなオークション会社で働く高遠冴(たかとお・さえ)。
美術史の修士号を持つ冴のもとに、ある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれます。
持ち主が主張するのは、なんと「フィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われた銃」だということ。
本当にゴッホが使った銃なのか。なぜ現在まで残っているのか。
リボルバーの真贋を調べていくうち、物語はゴッホとポール・ゴーギャン、そして彼らを取り巻く人々の関係へと広がっていきます。
読みどころ|「ゴッホの死」をミステリーとして描く
『リボルバー』の面白さは、美術史上の人物を題材にしながら、しっかりミステリー小説として読めることです。



「ゴッホの死」に関する謎を追う現在のパートと、ゴッホやゴーギャンをめぐる美術史がつながり、少しずつ物語の全体像が見えてきます。
史実そのものを解説する本ではなく、史実やさまざまな説から着想を得たフィクションなので、「これがゴッホの死の真相だった」と受け取るのではなく、アートミステリとして楽しむのがおすすめです。
ゴッホとゴーギャンの関係を知っているとより面白い
『リボルバー』では、ゴッホだけでなくポール・ゴーギャンも重要な人物として登場します。
2人が南フランスのアルルで共同生活を送ったことや、その関係が長く続かなかったことなどを知っていると、より物語に入り込みやすくなります。
もちろん、詳しい美術史を知らなくてもストーリーの中で必要な情報が示されるため、ミステリーから原田マハ作品を読んでみたい人にも向いています。
『リボルバー』がおすすめな人
- アートミステリーが好き
- ゴッホの死をめぐる謎に興味がある
- ゴッホとゴーギャンの関係を知りたい
- 長編でもテンポよく読める作品を探している
- オーディオブックで本を楽しみたい
原田マハのゴッホ本はどの順番で読む?
3冊はそれぞれ独立した作品なので、必ずこの順番で読む必要はありません。
ただ、「ゴッホについてほとんど知らない」という人なら、次の順番だと内容がつながりやすいです。
- 『たゆたえども沈まず』でゴッホ兄弟と時代背景を物語として知る
- 『ゴッホのあしあと』で実際の人物像や場所について知る
- 『リボルバー』でゴッホの死をめぐるアートミステリを楽しむ
最初に物語から入り、次に解説で知識を補い、最後にミステリーを楽しむ流れです。
一方、普段からミステリーをよく読む人なら『リボルバー』から入っても問題ありません。
原田マハはなぜ美術を題材にした小説が多い?
原田マハさんのアート小説が気になった人は、著者自身の経歴を知っておくと作品がさらに面白くなります。
原田マハさんは早稲田大学第二文学部で美術史を学び、森美術館設立準備室やニューヨーク近代美術館(MoMA)での勤務を経て、フリーのキュレーターとして活動した経歴を持っています。
その後、小説家として『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』『たゆたえども沈まず』『リボルバー』など、さまざまな美術作品・画家を題材にした作品を発表しています。
専門的な美術史をそのまま説明するのではなく、人物や事件を物語にすることで、美術に詳しくない人でも入りやすくしているのが原田マハ作品の魅力です。
ゴッホ以外も読みたい人におすすめの原田マハ作品
ゴッホを題材にした3冊が気に入ったら、ほかの画家や美術作品を題材にした原田マハ作品にも広げてみると楽しめます。
『楽園のカンヴァス』|アンリ・ルソーをめぐるアートミステリ
原田マハさんのアート小説を代表する一冊。画家アンリ・ルソーをめぐる謎を題材にした作品で、第25回山本周五郎賞を受賞しています。
「美術×ミステリー」という組み合わせが好きなら、『リボルバー』とあわせて読みたい作品です。
『暗幕のゲルニカ』|ピカソの名画をめぐる物語
ピカソの代表作「ゲルニカ」を題材にした長編小説です。
美術作品と政治・戦争・社会の関係まで描かれており、絵が生まれた時代背景にも興味がある人におすすめです。
『板上に咲く』|棟方志功を描いたアート小説
2024年に刊行された『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』は、版画家・棟方志功と、その創作を支えた妻チヤを描く長編小説です。
原田マハさん自身も、ゴッホを追いかけていく過程から白樺派、さらに棟方志功へと関心がつながっていったことを語っています。
よくある質問
- 原田マハのゴッホ小説は何冊ありますか?
-
この記事で紹介しているうち、小説は『たゆたえども沈まず』と『リボルバー』の2冊です。『ゴッホのあしあと』は小説ではなく、原田マハさんがゴッホの人物像やフランスに残る足跡をたどる読み物です。
- 原田マハのゴッホ本はどれから読むのがおすすめですか?
-
初めてなら『たゆたえども沈まず』がおすすめです。その後『ゴッホのあしあと』で実際の人物像やゆかりの地を知り、『リボルバー』を読むと、ゴッホについて段階的に理解を深められます。ただし作品同士に直接の続編関係はないので、好きな作品から読んでも問題ありません。
- 『たゆたえども沈まず』は実話ですか?
-
ゴッホや弟テオ、林忠正など実在の人物や当時の美術史を題材にしていますが、作品は小説です。史実をもとにしたフィクションが含まれているため、伝記や史実そのものとしてではなくアート小説として楽しみましょう。
- 『ゴッホのあしあと』は小説ですか?
-
小説ではありません。フランス各地に残るゴッホの足跡をたどりながら、その人物像や作品、日本への憧れなどについて原田マハさんが紹介する一冊です。
- 『リボルバー』はゴッホの死の真相を扱った実話ですか?
-
『リボルバー』は「ゴッホの死」という美術史上の謎から着想を得たアートミステリ小説です。史実や実在の人物が登場しますが、小説上の展開を歴史的事実として受け取らないようにしましょう。
- 美術に詳しくなくても原田マハの作品を楽しめますか?
-
美術史の専門知識がなくても楽しめます。まず物語として読み、気になった画家や作品について後から調べるという読み方もしやすいのが原田マハさんのアート小説の魅力です。
- 『リボルバー』はオーディオブックでも読めますか?
-
はい。幻冬舎の書籍情報では、『リボルバー』文庫版は紙書籍・電子書籍・オーディオブックで提供されています。
まとめ|原田マハ作品からゴッホの世界を楽しもう
原田マハさんのゴッホ関連本を読むなら、まずチェックしたいのは次の3冊です。
- 『たゆたえども沈まず』|ゴッホ兄弟と日本人画商・林忠正を描く長編小説
- 『ゴッホのあしあと』|ゴッホの人物像やゆかりの地をたどる読み物
- 『リボルバー』|ゴッホの死をめぐるアートミステリ
「ゴッホについてほとんど知らない」という人なら、『たゆたえども沈まず』→『ゴッホのあしあと』→『リボルバー』の順に読むと、物語・人物・美術史がつながりやすくなります。
絵画は作品だけを見ても楽しめますが、画家が生きた時代や周囲の人々を知ると、「どうしてこの絵を描いたのだろう?」と見る楽しみも増えていきます。



ゴッホの「ひまわり」や「星月夜」が好きな人も、まずは気になる一冊から原田マハさんが描くゴッホの世界に触れてみてください。


原田マハ以外にもある!ゴッホを題材にした小説・関連本
ゴッホを題材にした読み物は、原田マハさんの作品以外にもあります。
「ゴッホの人生をもっと知りたい」「『リボルバー』を読んでゴッホの死が気になった」「小説だけでなく漫画やノンフィクションも読んでみたい」という人は、次の作品もチェックしてみてください。
『晴れの日の木馬たち』原田マハ|ゴッホに背中を押される少女の物語
原田マハさんの新しいゴッホ関連作品もあります。
2025年刊行の『晴れの日の木馬たち Le manège de la fête』は、ゴッホ本人を主人公にした小説ではありません。
病に倒れた父を支えるため倉敷紡績で働く少女・すてらが、雑誌『白樺』を通してゴッホの絵やゴッホについての文章と出会い、自分は小説を書くという夢へ進んでいく物語です。
『たゆたえども沈まず』とは違った形で、「ゴッホの作品が日本人へ与えた影響」を感じられる関連作として読めます。
『原田マハのポスト印象派物語』|ゴッホを美術史からもっと知りたい人へ
小説を読んでから「実際のゴッホやポスト印象派についてもっと知りたい」と思った人には、2025年刊行の『原田マハのポスト印象派物語』もおすすめです。
ゴッホをはじめとするポスト印象派の画家たちを扱った短編連作に加え、ゆかりの地をめぐるフランス紀行や美術解説も収録されています。
小説と美術入門の中間のような感覚で読めるため、『ゴッホのあしあと』が好きだった人にも向いています。
『ゴッホ死す』小林利延|ゴッホの死をめぐる仮説を小説化
『ゴッホ死す』は、フィンセント・ファン・ゴッホの死をテーマにした小説です。
これまで公表されてきた資料をもとにゴッホの最期を検証し、そこへ仮説を組み込みながら物語として描いています。
『リボルバー』を読んで「ゴッホは本当に自殺だったの?」と気になった人なら、読み比べてみるのも面白い一冊です。
ただし、歴史的事実そのものを記録した本ではなく、小説として仮説を描いた作品です。複数の説のひとつとして楽しみましょう。
漫画でゴッホを楽しみたい人におすすめ
『ゴッホはじめました。』|ゴッホの幽霊と高校生の青春ストーリー
もっと気軽にゴッホを題材にした物語を楽しみたいなら、関崎俊三さんの漫画『ゴッホはじめました。』もあります。
主人公は普通の高校生・青嶋五歩。絵画教室で「ゴッホ」と名乗る謎の幽霊と出会ったことから、絵を描く世界へ入っていきます。
史実を再現した伝記漫画ではなく、現代の高校生×ゴッホの幽霊というフィクションです。
全3巻で完結しているので、美術小説は少し難しそうという人にも入りやすい作品です。
『ジラソウル -ゴッホの遥かなる道-』|ゴッホとピカソが出会う美術史IF
『ジラソウル -ゴッホの遥かなる道-』は、1890年のフランスを舞台にした漫画です。
37歳のゴッホと、当時8歳だったピカソが出会うという、実際の美術史では起きなかった邂逅を描く美術史IFストーリーになっています。
「もしこの2人の天才が出会っていたら?」という大胆な設定なので、史実とは切り分けてフィクションとして楽しむのがおすすめです。
ゴッホの史実をもっと知りたい人におすすめの本
『ゴッホの耳―天才画家 最大の謎―』|耳切り事件を追ったノンフィクション
小説を読んだあとで「どこまでが史実なの?」と気になった人には、バーナデット・マーフィー著『ゴッホの耳―天才画家 最大の謎―』がおすすめです。
1888年にアルルで起きたゴッホの「耳切り事件」について、新たに発見された資料などをもとに調査したノンフィクションです。
ゴーギャンとの共同生活や、耳を渡したとされる女性についても掘り下げられているため、『リボルバー』や『ゴッホのあしあと』を読んで史実にも興味が出てきた人に向いています。
Kindle Unlimitedで読めるかチェックしてみよう
今回紹介した作品にはKindle版が用意されているものもあります。
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